
皆様、こんにちは。西村友里です。
本日締結をさせて頂きました、管理物件の賃貸借契約の際のお話です。
借主様は60歳後半の男性で、現役の寿司職人です。
寿司調理師として40年以上にわたり、この道一筋で頑張っておられます。
高校を卒業し、当時は今のラーメン屋のようにたくさんあった寿司屋に修行入りしたそうです。
お客様いわく、「7年間は毎月の給料が7000円、3食まかない付で生活をしていた。
掃除の方法を学ぶことから始まり、まかないを作ってくれる女将さんの包丁捌きを勉強のために
いつも隣に立って見ていた。4ヶ月経つと出刃包丁を一人ひとつプレゼントされたが、
それまでに辞めていった者もたくさんいた。お正月とお盆には頭からつま先まで新しい仕事着を貰えたが、
それがボーナスの代わりだった。それでもとても嬉しかった。」とおっしゃっておりました。
機械が普及している現代でも、自らの手で握ったお寿司をお客様に出されているそうで、
特にシャリにはとてもこだわりを持たれており、ミツカンに特注で配合してもらったお酢を使用されているそうです。
「蕎麦でいう“つゆ”のように、寿司屋にとっては“シャリ”が大事だ」と、ご自身の仕事に誇りを持たれておりました。
また、今では本当の寿司の握り方を知らない人が多いことを残念がっていました。
不動産業界においても、地に足をつけて働いている人は少なく、年齢問わず出来ない理由ばかりを並べて
業界を去る人が後を絶ちません。お客様の財産を扱う仕事ですので、短期間で知識を身に付け、
簡単にできる仕事ではありません。
不動産が儲かるとでも思っているのか、欲に目がくらんで周りが見えないのかわかりませんが、
安易に考えて足を踏み入れる人は、当然ながらどこの会社に行っても長続きせず転々としています。
話をお客様に戻しますが、弊社の日本大通店の斜向かいに「シルクセンター」というビルがあります。
以前は「シルクホテル」という名前でホテル業を営んでいましたが、そこで毎年寿司屋の協会が開催する
展示会があったそうです。
お寿司の展示ではなく、包丁捌きの技術を駆使した作品を展示していたとのことです。
例えば笹の葉で鯉を作り、水の上に浮かべると、まるで本物が泳いでいるかのように見えたそうで、
私も「是非見てみたい!」と思いましたが、残念ながら今では寿司職人の人数がかなり減ったため、
このような催しは行われていないとのことでした。
私はお寿司が好きなので、学生の頃はよく回転寿司に通っていました。
手頃な価格でお店に入りやすいため、敷居の高いお寿司屋さんと比べるとどうしても回転寿司を
選んでしまいます。
しかし、社会人となったいま、お給料日くらいは背伸びをして職人さんの手で握ったお寿司が食べられる
お店に行こうと思います。