
皆様、こんにちは。井上久恵です。
先日、こんな営業マンが来店されました。
この時期に、汗びっしょり・・・。
「季節はずれの営業マン」です。
この方は、就職活動を支援している某会社の
研修中の男性営業マン(つまり学生)でした。
あまり詳しくは知りませんが、恐らくその某会社では、
就職を目指す学生たちに、様々な会社に飛込み営業をさせて
度胸や勇気、経験を身に付けさせることを研修目的と
しているのではないかと推測されます。
春や秋に、代わる代わる学生風の営業マンが来店するので、
こちらも某会社の名前は把握しています。
この汗びっしょり営業マンのAさん。
来店早々、本当に驚きました。
この時期に、スーツに汗が滴り落ちているのですから、
Aさんの緊張具合がそれだけで伝わってきます。
名刺交換をした際、「3点質問をさせて頂いて宜しいでしょうか」と
言われたので、それを受けることにしました。
Aさん「まず、一つ目の質問です。ご年齢はおいくつですか?」
私「・・・・」
内心、「え、その質問って何の意味があるの?」と
年齢を伝えることに躊躇してしまいました。
私は20代の頃も33になった今も、いつも自分に自信がありません。
年齢を言う事で、『ふん、この小娘が』とか思われるのかな、
『え、もう30にもなって、まだそんなにフラフラしてるの?』とか
思われるのかななど、
モンモンと考えが浮かび、年齢を口にするまで数秒空いてしまいます。
汗を垂らしながら、Aさんはじっと私の顔を見つめ、
答えを待っています。
結局、この時は「30代です」と、なぜかオブラートに包んでしまいました。
Aさん「はい、30代ですね。承知しました」とノートに書き書き。
その間もAさんのスーツには汗が2滴、3滴と落ちています。
そしてすぐに次の質問へ。(結局何のための聞取りだったの・・・?!)
Aさん「あなたが『こういう営業マン、素敵だな』と感じる印象は
いったいどんなところでしょうか。」
私「汗をかいてもそれを綺麗に拭いて、身だしなみを整えている人」
・・・となんて、もちろん言いませんでした。いえ、言えませんでした。
「身だしなみを整えている人」というところは私の正直な気持ちですが、
「汗を拭きなさい」とはどうしても言えませんでした。
結局3つめの質問を忘れてしまうほど、
私の目と集中力は、Aさんの滴り落ちる汗に向かっていました。
最後にAさんは「有難うございました」と丁寧にお辞儀をして店を後にしました。
「彼の為に、私はそっと言ってあげたほうが良かったのかもしれない」と、
数日経った今でもAさんのことが気がかりです。
垂らした汗が無駄にならないように、Aさんが無事就職できること祈っています。