2015年09月02日
営業活動日記 「用途変更」

皆様、こんにちは。西村友里です。

私が担当するお客様の中に、エステ、美容室、事務所をひとまとめで
使用できる広さ30坪(約99㎡)位の店舗事務所を探されている方がおります。
ご希望のエリアは、弊社徒歩3分の距離にある「日本大通り」周辺の雰囲気を
とても気に入られており、このエリア内に出店されたい希望があります。

日本大通りにはイチョウ並木をはじめ、横浜らしいレンガ造りの建物や
お洒落なカフェ等が建ち並んでいます。
歴史を感じさせる風情ある街並みと、落ち着いた趣ある通りに、道行く人々が心惹かれる憩いの場所です。
雑誌やドラマ等の撮影も頻繁に行われており、人気のスポットとなっています。

オフィスビルも数多く建っていますが、空室はほとんどありません。
お客様のご希望に見合った店舗事務所をご紹介しようと探しましたが、
今回ある壁にぶつかりました。

それは、「用途変更(コンバージョン)」です。
用途変更は、「使用者が使用する対象物を、当初の用途から他の用途へと変更すること」です。
建物には、住宅(A)→ 一戸建住宅、住宅(B)→共同住宅・寄宿舎・寮・長屋建住宅、
文教施設(A)→ 小中学校、高等学校等、それぞれ使用用途が決まっており、
その用途を変更し、「特殊建築物」にするには、用途変更確認申請の手続きが必要になります。

「特殊建築物」とは、建基法第6条1項一号に掲げる学校・病院・劇場・旅館・共同住宅など
不特定多数の人が利用する建築物を指します。
(特殊建築物の適用範囲は、条文によって異なりますので一概には言えない部分もあります。)
しかし、規模が100㎡以内、もしくは類似の用途間で行われる場合はその手続きは必要ありません。

100㎡という数字だけを見ると、大きく感じるかもしれませんが、
10m×10m、13m×8mで100㎡を超えます。
横浜市では、飲食店の場合は変更規模300㎡より、バリアフリー条例が適用され
遡及しますので、昇降機奥行き寸法(1350mm以上)の確認など注意が必要です。
(東京都では500㎡)

私が、「この事務所をお客様にご紹介したい」と思っても、何件かの管理会社から
「用途変更が必要となりますので、エステや美容室としての使用はお断りさせて頂きます。
クリニックであれば、用途変更の必要はないので、良いけれども。」と言われました。

これらのことについて、私は無知でしたので、「そうなんだ」と思い諦めておりました。
しかし、よくよく調べたら、以下のことが分かりました。

 ①銀行、旅行代理店、治療行為等を行わないエステサロン、ショールーム等は
   事務所と同様に、特殊建築物用途ではないことより、用途変更申請の対象外として扱われています。
   また、診療所は特殊建築物になりますが、患者の入院施設を有しない無床診療所(19床以下)は
   特殊建築物から除かれます。歯科も同様に無床診療所として扱われます。

 ②エステサロンは、そこで行われる行為に医療行為があるのか、また公衆浴場法に抵触するような
   スチームバスなどによる行為があるのか、保健所の届けを要す行為があるのか等で、保健所の判断を受け、
   取り扱いを判断することもあります。(岩盤浴は公衆浴場の取り扱いになるので、用途変更の申請が必要)

 ③美容院は、特殊建築物の適用範囲に含まれない場合もあります。
   「物販を対象とした店舗」を対象にしており、通常、小規模なサービス業店舗までは含んでいないと解釈出来るが、
   サービス業店舗でも、その規模や業務形態により、所轄の特定行政庁の判断によって違いが生じるので、
   その都度、事前適用相談をする必要があります。


エステや美容室だからと言って、一概に「使用不可」とは言えないそうです。
ただ単に、オーナー様や管理会社が色々と書類の準備をするのが手間となるのが嫌で、
断ってきたのかもしれませんが、私にとっては大変よい勉強になりました。

用途変更を行うにも、数十万の費用がかかります。
これらを踏まえて、お客様にとって最適な店舗事務所が見つかるよう、引き続きお探しして参ります。

 

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