2016年06月15日
営業活動日記 「空家対策における国土交通省の対応について」

皆様、こんにちは。山口幸夫です。

今日は、全国で問題になっている空家についてお届け致します。
横浜市内でも1万6000戸以上の空家があり、年々増加していると言われています。
ご存知のとおり、空家は放置しておくと倒壊の恐れや衛生上有害となる恐れ、
景観を損ねたり、放火などの心配もあり、多くの問題を抱えています。

各行政においても、空家対策として相談窓口を設けたり、行政措置が行えるように法整備を行っております。
そんな中、先日以下のようなニュースを目にしました。
空家問題の対策として、東京都豊島区が若者のシェアハウスや高齢者のグループホームに活用する
条例案を策定したのですが、建築基準法にない新しい運用に国土交通省が難色を示し、
頓挫しているとのことです。
同種の条例を大都市部に適用するのは全国で初めてで、スラム化を防ぐ切り札だっただけに、
豊島区は苦慮しているそうです。
豊島区内の空家率は東京都で最も多い15.8%あり、犯罪の温床となり地震で他の建物に被害を及ぼす
恐れもあるため豊島区は転用を考えました。
転用する場合には、空き家は建築基準法上「寄宿舎」とされ防火や間取りに特別の措置が必要となります。

豊島区は、延べ面積150平方メートル・2階建以下の戸建民家について、
▽火災報知機設置
▽2方向の避難路確保
▽障害を持つ入居者への配慮等を条件に、寄宿舎でなく一般住宅とみなし使用を認める条例案を準備したのです。

低所得者を集めて無届けで運営する業者の参入を防ぐため、認定制度も導入。
所有者と運営者の安全確保への責務も明確にし、立ち入り調査権で悪用を防ぐ対策も取っていました。
不足する高齢者グループホームも増やす予定でした。
しかし、豊島区が今年3月に国交省に条例案を打診したところ、建築基準法の事実上の緩和策に
「法を超える部分がある」と疑義が示され、条例案の今秋の区議会提出を見合わせました。
国土交通省建築指導課は「空き家対策を一歩進めるのはいいが、何でも認めるわけにはいかない。
後で法的疑義が生じないようにすべきだ」としているということです。

この問題について、空家問題に詳しい米山秀隆・富士通総研上席主任研究員が、
「本来は自治体の権限でできるはず。国交省は全国のバランスも考えたのだろうが、
一律な対応は問題で、個別に空き家活用を認めるべきだ」とコメントされています。
この国土交通省のコメントを見る限り、お役人の感覚の最たるものだなと感じました。
他人事になっているから、自分の立場しか考えていません。
「何でも認めるわけにはいかない。法的疑義が生じないようにすべき」というのは
正に自分に火の粉が掛からないようにしたいという姿勢が垣間見れます。

実生活における様々な問題に対して、知恵を出して対策しているのはいつも民間人です。
そして税金を納めて、日本経済を支えているのも我々民間人なのです。
断片的な見方であり、すべてのお役人の方が該当しないことは分かっておりますが、
特に国のお役人の方々に対しては、せめて民間人の知恵と努力の妨げにならないように
法整備にはスピード感を持って対応してもらいたいと思います。

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