2015年09月05日
営業活動日記 「企業価値評価と不動産評価のお話」

皆様、こんにちは。不動産鑑定士の松本智治です。

今回は中小企業の株に関する企業価値評価の話しです。

税理士さんや会計事務所さん方が、クライアントさんに行う税務会計相談のなかで、
次の世代にスムーズに事業承継を行う準備のため、経営されている会社の価値、
すなわち、株式評価をどのように行うかという相談がしばしばあるようです。


中小企業の株を評価する手法はさまざまありますが、
特に一般的なのは、相続税の財産評価基本通達で決められている、
類似業種比準価額を用いる方式のほか、バランスシート上の資産価格を見直す方式、
あと、会社の純利益を還元する方式などが考えられます。
このうち、バランスシート上の資産で特に金額が大きいのが、土地建物などの不動産であり、
帳簿価格で記載されている当初の取得価格を時価評価に見直すため、我々不動産鑑定士に
鑑定評価を依頼される場合があります。
(私的には、簡易的に価格を出す簡易査定として依頼される場合がほとんどですが)

上記で紹介した企業の株を評価する方式は、実は不動産評価を行う方式と共通していて、
類似業種比準価額は、不動産鑑定評価における取引事例比較法(比準価格)、
バランスシートの資産価格を見直す方式は、鑑定評価における積算法(積算価格)、
会社の純利益を還元する方式は、収益還元法(収益価格)に相当します。
いわゆる、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチ、インカム・アプローチにそれぞれ相当します。

私も企業価値評価を少々学びましたが、不動産の評価と全く同様な部分で躓きます。
例えば、類似業種に関する株の採用事例の適正性であったり、また、純収益を還元する際の適正な利回りに関し、
加重平均資本コスト(WACC)における株主資本の利回りをどのように設定すべきかなど、同様の問題に直面するのです。

いずれにしましても、物事を評価するというのは絶対的な方法があるわけではなく、価値という目に見えないもの、
人それぞれ違って当たり前のものについて、適正水準はこのあたりにあるということをどのようにすれば
説得力をもって説明ができるか、その方法論にすぎないのです。
物事の価値または物の価値というのは、あらかじめあるものではないということ、評価を行う実務者として
常々思うところです。

本日はこのあたりにて。今後とも宜しくお願い致します。


 

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